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2007年07月 アーカイブ

2007年07月01日

メルシィ!人生 (2000/仏)

近所にツタヤがありません。
引越して半年以上になりますが、
一度だけ近所の「じゃがいも」というお店でレンタルしました。
想像通りの品揃え。数が少ないのに目当ての作品が見つけられない。

一念発起して、ツタヤディスカスに登録しました。
そして、記念すべき第一回レンタルは『メルシィ人生!』。
『奇人たちの晩餐会』のフランシス・ヴェベール監督作品です。

主人公の名前は『奇人』と同じピニョンさん。
『奇人』のピニョンさんは行動も容姿も奇抜でしたが、
今回のピニョンさんは、いたって普通なダニエル・オートゥイユ。
ロバート・デ・ニーロを知的なフランス人にした感じの、あの人です。

ピニョンさんは美しい妻と生意気な高校生の息子に出て行かれ、一人ぐらし。
出て行くにあたっての、原因は特にありません。あえて言うならツマンナイから。
そして、会社も地味すぎて(?)クビ寸前。
自殺しちゃおうかな、ってベランダに立ったとき隣の老人がアイデアをくれます。
ゲイのふりをしなさい。
「クビ?、”ゲイのせいで不当解雇だ!」と無言の圧力をかけるのだ!
老人が送った合成のゲイ写真で会社は大騒ぎ・・・、というお話です。

経理部の同僚の女の子は、「あの目つき・・・私は分かっていた」と言い、
息子は、つまらないヤツだと馬鹿にしていた父親を尊敬する。
マッチョな上司(ドパルデュー)は、
ゲイ嫌いを隠すためピニョンさんに優しく接しようと心がけたのがキッカケで、ピニョンさんに恋に似た感情が芽生える始末。

とにかく地味。気遣いだけがとりえだったピニョンさんでしたが、
騒動のなか、自己主張しはじめ、自分を捨てた元嫁ともスカっと決別。
素敵な彼女もでき、ハッピーエンド。

会社にいったら、まず同じ部署の愛想もクソもない女性二人に
「コーヒーどうですか?」って、たずねるのが日課だった気遣いの鬼、ピニョンさん。
マッチョ上司や冷たい同僚のピンチにその力を発揮。
ひとを気遣う優しい心がゲイ騒動で、
やっと皆に伝わるぐらいパワフルに働いたのですね。

元嫁に「息子にゲイじゃないと言うな。今の時期はゲイでも父親が必要だ!」と告げ、
ネコが居なくなって落胆する隣の老人に「ネコが見つかったよ~」とどこかで仕入れてきた別のネコを差し出す。
自分が気分良くいたい、っていう気持ももちろん否定できませんが、
基本はヒトを喜ばせたり、安心させたいというのがピニョンさん。
その行動が、勝利をおさめたのです。

本当のことって、一番大切?
どんな行動も愛情と誠意があれば、それが真実だ!っていうことですね。
う~ん、おフランス。
「ありえへん!」というシーンも満載ですが愛情と誠意で軽くクリアしています。

見所は、ドパルデューをけし掛け、恋までさせた同僚3人。
会社の騒動を静観しつつ、差別的なドパルデューをおちょくりまくる。
超クールじゃないですか。こんなイカした脇役が出てくる映画って観たことないです。

ご覧あれ。

2007年07月04日

私小説

風邪で休んで、そのあとの2回が教室がお休み。
ほぼ1ヶ月ぶりの絵本教室です。

今日は高科正信先生からの課題の提出日となっています。
3つのことばを使うことが条件。
色いろ考えたつもりでしたが、見事に「陳腐」な内容となりました。
まぁ、しかし、これだけ書けないものかと情けなくなります。

前回の課題の原稿用紙のハシッコに書かれた先生のお言葉は以下のとおり。
「いつどのようにして、子どもはかなしみを乗りこえるのか。
難しいテーマです。文章を書く基本はできていると思いますので、
何をどう書くかとうことを学んでいきましょう。」

前回の条件は「1年生が自分で読めること」だけだったので、内容については自由にかけました。
この自由というのも、またそれなりに悩むもので、結局、おととし死んだ愛犬について描きました。
電車にゆられて、ストーリーを考えていると、犬を思い出して涙がポロリとこぼれました。
書いてるときも泣けてきました。
半分、私小説です・・・。あぁ、しょうもない。

半分少女だったらよかったのに。(←キョンキョンね)
二分の一の神話だったら良かったのに。(←明菜ちゃんね)

素人の私小説的って、ほんま、しょうもない。
読む機会はないから、想像だけど。

今回の課題は私小説ではありませんが、ひたすらに陳腐。
先生からどんなお言葉をいただけるのでしょうか。

今日は、おまちかね、荒井良二先生の授業です。
いってきま~す。

2007年07月08日

自分ルール

水曜日の絵本教室。荒井先生はちょっと遅れてきはりました。
みんなシーンと神妙にしているところ「・・・絵本・・・?」と小さな声で、生徒さんの一人にたずねはりました。
「ここ、絵本教室だよね?」という意味です。
いきなり。やっぱり面白いなぁ。と思いました。


直線と円と四角だけを使って、音楽を表現した24Pの絵本を作る。
というのが時間内の課題。
まずは、どこに盛り上がりを持ってくるのか?というのを考え全体を構成するのがポイントです。

全てのページを表現しおわったら、音楽とは関係のないタイトルを決め、そのタイトルに沿った内容の絵を各ページに配置し、完成です。

24Pの絵本は、1ページから真剣にチマチマすすめていこうとすると、ガンダーラへの旅みたいになっちゃいますが、すばやく全体を描き、一旦俯瞰してから、きっちりストーリーを考えていくとなんとかなりそうです。
一定期間に何かを生み出す仕事なら、同じことが言えるかもしれません。


●先生の言葉

1)戦略的でなければならない
2)終わらせ方=作家性
 教訓とか、結末の意外性は必須ではない
3)絵本は絵と文字で成り立っているもの。
  1枚の絵として完成されているものは
  絵本には向かない。
4)自分でルールを作るのは大切


印象に残ったのは(4)。先生は音符を描かれないそうです。たしか「あれ、マンガでしょ」って言ってはりました。
ソレッっぽいものを安易に使うのは避けているってことだと思います。他の人はどうあれ、それを自分がやると、ダサイ。擬音語にも気をつけておられるそうです。

描きたいテーマと同じぐらい、
「ダメだ」「格好悪い」ってことが、個性を支えるってことでしょう。

絵本も生活も仕事もいっしょなんですね。

2007年07月15日

ワンダーランド駅で (1998/米)

不機嫌な看護師エリンと
海洋学を学ぶ貧乏な三十路学生アランが出会うまでの恋愛未満映画です。

水族館や電車でニアミスの連続。出会いそうで出会わない。
でも、そこでドキドキはしません。
だって、二人はお互いのことを知らないし、
「運命の出会い」なのかどうか、二人にも私にも分かりません。

映画の90%を占めるのは出会う前の二人を取り巻く、どこかで見たことのあるような人々や、水族館でのエピソード。2人に共通するのは不器用さや生真面目さや寂しさ。映画がすすむにつれ、感情移入していきます。

ラストシーンはアメリカの東海岸の静かな海。
出会ったばかり。ロマンチックすぎず、淡々として。
アランの「歩く?」の軽いお誘いに間髪いれずに喰いつくエリンが微笑ましい。
「運命の出会い」であることを祈ります。

★★★★★
すごくオススメ。
恋愛映画はたくさん観ていませんが、『ラヴ・アクチュアリー』より素敵だと思います。
ラブストーリーが苦手な人でも、「良く出来てるな~。」って思うんじゃないかなぁ。


その他の見どころ

1)
他のビデオを借りたとき、この映画の予告編を何度か見てて、ずっと気になっていました。
「別れる理由」を演説するエリンの元同棲相手のフリップ・シーモア・ホフマン。やっぱり本編でも良い仕事をしてはりました。
彼の困ったような笑顔が大好きです。
思わず画面の前で真似てしまいます。恋はしませんけど。
フリップ・シーモア・ホフマン主演でマイケル・ムーアを主人公にした映画(フィクション)つくってほしい。

2)
水族館のマスコットであるハリセンボンとそのエピソードがすごく良い。
動物好きなら間違いなく「キャハッ~!カワイイ~!」って思うことでしょう。

3)
ときおり、エリンが未来を占うように、本を開き、目を閉じて指差します。
さて、どんな言葉に出会えるでしょうか。
その女心、わかるわ~。

2007年07月22日

茶家(ちゃいえ・苦楽園)

cha20070722.jpg

最近出来たお店ですが、すでに3回おじゃましました。

わたしのウォーキングコースの折り返し地点が、
右の写真のガードレールのすぐ下にあり、偶然発見。

日本茶を中心としたお茶のお店です。

民家を改装した店内はとてもに落ち着きます。
夙川沿いで、川を眺めながら飲食ができるお店って、意外にないんですよ。
草に覆われていて、水が流れているのはほとんど見えないんですけど、
やっぱり川沿いは気持いい。
川の向こうに見える70年代風マンションもいいかんじ。

あたたかい日本茶をオーダーすれば、三煎まで入れてくださいます。
長居をしたい私にはうれしいお店。
カッカッと力強く急須のお湯をお湯飲みに出し切りはるんですよ。
きっと家で煎れるときも、お湯は少なめに注いで急須に残さないのが良いんでしょうね。

お茶請けには店内で作られたケーキと小さなたい焼きがあります。
わたしは3回とも小さなたい焼きをいただきました。ほかほかで美味しぃ~。
夏はカキ氷もあります。

スイミング・プール (2003/仏=英)

ミステリーやサスペンスにあまり興味がありません。
結末を知っていても、映画の面白さって、さほど変わらないんじゃないの?と思っていました。

が、この映画は、結末を知らなくて良かった!!!

▼▼▼ネタバレです▼▼▼

イギリスの初老のミステリー作家、サラ・モートン。
作品はソコソコ売れているものの、作家としての方向性に疑問をもっている。
彼女は、プライベートでは彼氏でもある
出版社の社長が所有するフランスの別荘へ一人でバカンス&仕事で行くことにする。

・・・たぶんココまでは現実(映画のなかの現実)。
そして、これから後は作家であるサラの小説の中との境界線が曖昧になってくる。
もちろんそれは映画のクライマックスで明かされることであって、
わたしはラスト10分まで「現実」として映画を鑑賞しました。

別荘にやってきた彼氏の娘、ジェリー。
彼女が引っ張り込んでくる、何人もの男性。
そして殺人事件が・・・。

これがサラの作った物語だと気づかないなりにも、
沢山の違和感を感じました。

●違和感1
後に殺される別荘近くのレストランのウエイターが登場するシーン。
重要な役割を果たすにしては、
あまりに感情のこもらないドキュメンタリーのような映像。

・・・多分これは「現実」ですね。
サラのストーリーの「殺される登場人物」のヒントになる現実のふつうの男。

●違和感2
ジェリーの連れてくる男たち。
神々しいほどに美しいジェリーとは対照的な男性陣。
やさしくもなく、知的でもありません。
それなのにジェリーは「行っちゃいや」「絶対また来てね」と、媚まくる。
あまりに不自然。

・・・地味な初老作家サラの美しさや若さに対する嫉妬?

●違和感3
別荘を管理するおじさんの娘の不思議の国住人のような風貌。
この殺人事件に必要な登場人物なのか???


以上のような「なんだか変だな~」というような気持で、クライマックスを迎えます。
サラが社長に今までとは違うタイプの自信作を読ませるシーンで、
「ああ、サラのつくった物語だったのね。」と合点がいくのです。

ジェリーのふわふわした存在感。
その美しさにもかかわらず、誰からも愛されず、ふしだらで絶望的に孤独。
それは初老のミステリー作家、サラの頭の中で想像の女の子だったのです。

なんだかすごく愛おしく、
映画の中の「現実」であっても存在してほしかったような、
不思議な気持になりました。
わたしがこんな気持になるのは、サラが愛おしい存在として描いていたということでしょう。

違和感を思い返して、
「あれは現実かサラの物語か?」と何度も味わっています。
映像と音楽も素敵です。

フランソワ・オゾン。67年生まれの若い監督です。
これからどんな映画をつくってくれるのか、とても楽しみです。

▼スイミングプールのサイト
http://www.gaga.ne.jp/swimmingpool/

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